今の仕事は、嫌いではありません。
むしろ好きなほうだと思います。
それでも、やりがいや成長をあまり感じられないまま、淡々と同じ毎日を繰り返している——。
お給料が大きく増える見込みもなく、老後のお金を考えると、ふと足元が不安になる。
「このままだと、一生このままなのかもしれない」
そんな気持ちが、少しずつ心にたまっていました。
もっと自分に自信を持って働きたい。
その思いが、40代になって「学び直し」を考えはじめたきっかけでした。
それでも「今さら遅いかも」と思った
ところが、いざ動こうとすると、今度は別の壁が立ちはだかりました。
転職サイトを眺めていたとき、「35歳以下」「30歳以下」という文字が、やけに目に飛び込んできたのです。
ああ、私はもう対象じゃないんだ——。
そう思った瞬間、「今から資格をとっても、どうせ転職なんてできないかもしれない」「新しいことを始めるより、今の仕事を大事にしたほうがいいのかも」と、始める前から言い訳が並びはじめました。
40代で学び直しをしようとすると、たいていこの「今さら遅いかも」という気持ちが、最初の壁になるのだと思います。
いちばんしんどかったのは、時間でも記憶力でもなかった
それでも思い切って勉強を始めてみて、本当にきつかったのは、意外なことでした。
時間のやりくりでも、若い頃より衰えた記憶力でもなく——「人の中に入ること」と「見られること」だったのです。
養成講座では、初めて会う人ばかりの中で自分のことを話します。
ロールプレイ(面談の練習)をすれば、その様子を人に見られ、フィードバックを受けます。
自分を客観的に振り返るのは、思っていた何倍も難しくて。
緊張して、正直に言えば「心底やりたくない」と思った日もありました。
心が少しほどけた、2つの瞬間
それでも続けられたのは、小さな瞬間があったからです。
ひとつは、休憩時間にほかの人と「緊張するね!!」「無理かも」と話せたとき。
緊張していたのは自分だけじゃなかった——それを知っただけで、ふっと心強くなりました。
もうひとつは、ロールプレイで人から褒めてもらえたとき。
自分ではまったく気づいていなかった良いところを、他人の目が教えてくれました。
ひとりで机に向かっていたら、一生気づけなかったことです。
それでも、「やらなきゃ」とは言いたくない
ここまで書いておいて、同じ40代の人に「だから思い切って始めよう」と強く背中を押すつもりは、実はありません。
新しいことを始めるのは、怖いし、緊張するし、嫌だと感じることもある。
まずは、そう感じている自分に、やさしく気づいてあげてほしいと思うんです。
「そんなことない」「新しいことはいいことだ」「やらなきゃ」——そういう"正しさ"に、自分を無理やり乗せなくていい。
大切なのは、それが本当に自分のやりたいことなのかを、確かめること。
やりたくなかったら、やらなくてもいい。
今の暮らしや仕事を大事にするのも、それはそれで素敵な選択です。
そのうえで、もし一度きりの人生で「やってみたい」と思えることが見つかったのなら——ほんの少しだけ、一歩を進めてみてほしい。
大切なのは、後悔しないことだと思います。
振り返ったときに、挑戦してよかったと思えることなら、ぜひ挑戦してみてください。
おわりに
「もう遅い」と思っていた私は、まだ勉強の途中にいます。
劇的に何かが変わったわけではありません。
でも、「今さら」という言葉に自分の人生を決めさせなくてよかった、とは思っています。
そして、あのとき感じた「このままでいいのかな」という小さな不安は、責めるべきものではなく、自分を次に進ませてくれた大切なサインだったのだと、今は思えます。
同じように迷っている方の、肩の力がふっと抜けるきっかけになればうれしいです。



